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意外に思われるかもしれませんが、人間にとって「座る」ことは「立つ」ことよりもはるかに疲れる不自然な姿勢となります。そのストレスは、立っているときの1.4倍にもなると言われています。直立した人間の身体を真横から透視すると、背骨はS字のラインになっていますが、座っているときの背骨はC字を描きます。S字の背骨はスプリングの役目を果たして肉体的なストレスから身体を守り、椎間板にかかる負担を分散させます。これに対して、C字の背骨は椎間板の一部に負担を集中させてしまいます。座ると楽に感じるのは、脚や膝の負担が解放されたためで、腰は却って負担を感じているのです。
人間は、脊柱と呼ばれる骨格を上半身の軸としています。脊柱は、椎骨と呼ばれる小さな骨がいくつも連なって形成されています。そして椎骨と椎骨を繋ぐゼラチン状の「椎間板」という軟骨が、前後左右に動く脊柱を支えています。椎骨と椎間板から成る脊柱は、頚椎、胸椎、腰椎の3つのパートに分類されます。そして胸椎と腰椎のふたつを一般的に背骨と呼んでいます。背骨は、真横から透視すると緩やかなS字カーブを描いています。S字カーブを描く背骨は、スプリングのような役割を果たしながら人間の上半身を支えています。背骨は、仙骨と呼ばれる骨盤の中心部へと繋がっています。そのため骨盤が転がってしまうと骨盤を起点とする背骨が曲がってしまうことになります。立っているときも座っているときも、まず骨盤をしっかりと起こしてあげることが背骨の形状をS字カーブに保持するために必要となります。

レカロシートの設計開発は、まず腰の位置をしっかりと決めることから始まります。そうすることで、正しい位置に正しい姿勢で座るということをシートがサポートできるようになります。坐骨を支持しながら骨盤の前すべりを抑制するシートクッション、そして骨盤の左右への回転を抑制するサイドサポート、そして腰椎部を支持しながら背骨の形状をS字カーブに保持するランバーサポートおよびバックレスト、これらがドライバーの身体を正しい着座姿勢へと導くレカロシートの原点となります。
レカロシートは、骨盤の前すべりを抑制しながら背骨の形状をS字カーブへと導く正しい着座姿勢を実現しています。一方、それだけでは乗り心地の良いシートを実現するのに不十分と言えます。最も大切なことは、その正しい着座姿勢を長距離・長時間の運転でも保持することができるか否かということです。レカロシートには、正しい着座姿勢に導くシートづくりのノウハウにもうひとつその姿勢を保持するためのノウハウが詰まっています。一般的なシートの構造は、フレーム+Sバネ式になっています。これは身体をハンモックのように支持しています。そのため、長距離・長時間運転するとシート全体が容易に型くずれを起こし、同時に着座姿勢もくずれていきます。何度も座りなおしたり、運転すると肩、腕、腰などに痛みを感じたりするのは、これが原因のひとつともいえます。一方でレカロシートの場合、パネル構造のバックレストに独自で設計開発した高密度・高効率のウレタンパッドを組み合わせているため、長時間の運転でも型くずれすることなく疲れにくい正しい着座姿勢を保持することができます。シートクッションも同様で、Sバネ式の構造ではなく、ウレタンパッドのクッション部を面で支持するための独自部品が採用されています。正しい着座姿勢を習慣づけることで、結果的には周囲の筋肉もその姿勢を保持するために必要なものへと変化し、身体全体が正常な状態へ近づいていくことになります。
正しい着座姿勢とは、骨盤のすべりを抑え、背骨~骨盤までのラインを人間本来の形状で維持すること。それがクルマのシートにも求められる正しい着座姿勢となります。理想的な座り方とは「立つように座る」ということ。そして長距離・長時間の運転でもその状態が快適に維持されるということ。整形医学と人間工学を集約して生まれたレカロのシートは、クルマのシートに求められる理想を実現しています。
